本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
ネタバレもあるので未読の方はご注意ください
<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
RECOMMEND

 極北ラプソディ 

  
読んだり観たり
雪芽さんの読書メーター 雪芽の最近読んだ本 雪芽さんの鑑賞メーター 雪芽の最近観たビデオ
読みたい!聴きたい♪
Blog散歩道
今年読んだ本
将棋○名人戦・順位戦●
≡ SPONSORED ≡
<< 言葉の小骨 | main | 凍える白 スイーツな白 >>

*スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | | |

*「宵山万華鏡」 森見登美彦

森見 登美彦
集英社
¥ 1,365
(2009-07-03)

 森見さんの『宵山万華鏡』が出たのは昨年7月、京都祇園祭の頃だった。
本を手に取ってみると、動かすたびに角度によってキラキラと光ってみせる。
これは面白いと、迷わず買う。
7月の夜をともに過ごすはずだった。気がつけばキラキラと雪が光るいまは冬。
そんなこともあるさ。

祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。
内容(「BOOK」データベースより)
 表紙を外してみると現れたのはでっかい金魚。ぱっくり開いた口に上目使いのギョロ目。愛らしい金魚とは形容し難いけれど、見ているうちにそのユーモラスな表情に愛着さえ湧いてくる。
どうしたって笑わずにはおれないデカ金魚の衝撃はさておいて、宵山に起こる不思議な出来事を幻想とユーモアと阿呆な馬鹿らしさと少しの怖さで描いて、つまりは大好きな森見さん風味が効いた作品だなということだ。

6つの短編から成る。どれもが完結したひとつの話なのだが、色や光の三原色でいうところの補色にあたる対の1編がある。さらに6つの話がゆるやかに繋がり合って、大きなひとの世界として結ばれている。

万華鏡のように多彩な森見模様が浮かび上がる。

「宵山姉妹」
バレエ教室の帰り、好奇心旺盛な姉の誘いで宵山見物に行くことになった姉妹。臆病で慎重な妹は気が気でない。やがて繋がれていたはずの手が離れ…
臆病な妹の心情の変化を繊細に描いているところがよかった。嫌々ながら、でも内心は興味があって、姉についていく時の緊張感。宵山の喧騒にひとり取り残された恐怖と焦り。赤い浴衣の女の子たちに手引かれ怖さを忘れてお祭に魅了されていく高揚感。最後現実に還った後の饒舌なお喋りはとってもよくわかる。気持ちの揺れ曲線が目に浮ぶようだった。

「宵山金魚」
これだったのかぁ、デカ金魚の謎が解けた。
「なーる」
意味もないどうでもいいようなことに情熱を傾ける飄々とした乙川のようなキャラは、森見さんの作品では定番キャラ。別な話では得体の知れない存在感の乙川も、ここではりっぱな奇人ぶりで面白い。
乙川に振り回される友人の藤田が体験するもうひとつの笑える宵山の話。
奥州斎川孫太郎虫という虫が出てくる。『太陽の塔』でも背中に怖気が走るゴキブリキューブなるものが登場したが、森見さんてよっぽどの虫好き?しかもゲジゲジとした感じの。
ちなみに孫太郎虫、想像の産物かと思っていたらちゃんと存在する。漢方薬ということだけど、いくら効くと言われても虫は嫌だなぁ、虫は。

「宵山劇場」
祇園祭司令部、そこで練られる計画とは。
『夜は短し歩けよ乙女』を読んだことがある読者なら思わず懐かしくなる。
高藪さんがちょっとお気の毒だけど、白塗りのその姿はやっぱり笑ってしまうのですよ。

「宵山画廊」 「宵山迷宮」
宵山の雑踏を泳ぐように通り抜けていく赤い浴衣の女の子たち。もしかするとひとりひとりに似たような残された者の痛みや哀しみの話があるのだろうか。
ひんやりとした気配に潜むのはせつない願望だった。

「宵山万華鏡」
こちらは「宵山姉妹」に登場した姉目線で語られる宵山の夜の話。
金魚の浮ぶ風船を探しての宵山大冒険の段。
もう京都の街全体がおとぎ話の中に取り込まれたようななんでもありの賑わい。ビルの水槽、竹林、狸に、天狗水、達磨を食べる龍。
宵山様の正体って、そうだったのか。
「なーる」
大坊主と姉の会話がとにかく楽しくていいんですよ。ほわっとしちゃう。

一度は宵山の喧騒を歩いてみたいなと思った。
不思議に出会う、かも。

2010年1月31日読了
| 森見登美彦 | 19:27 | comments(6) | trackbacks(3) | | |

*スポンサーサイト

| - | 19:27 | - | - | | |

♯ コメント

雪芽さん、こんばんわ。
万華鏡をくるりくるりと回すたびに、幻想的だったり阿呆だったり、ちょっと怖かったりする宵山が現れて、森見ワールドのいろいろな魅力を堪能することができた一冊でした。
宵山の喧騒、歩いてみたいですねー。ちょっと怖い気もしますけど。
| | 2010/02/01 7:00 PM |
雪芽さん、こんばんは。
TBありがとうございました!
宵山の、夏だけど涼しい風似合うこの物語、冬の澄んだ空気の中で読むのもとても合いそうですね。
孫太郎虫、実在するんですか・・・怖くて検索できません!!

いつか、この本を片手に宵山の夜を駆け回ってみたいですね!


| | 2010/02/01 9:18 PM |
juneさん、こんばんは。
目の前に見えてくる世界は違うけれど、ちゃんと懐かしい森見さんの匂いがして、もっともっとくるりくるり万華鏡を回していたいなぁって思ってしまいました。
うわ〜、帰ってこれなくちゃうな。
宵山、みんなで歩けば怖くない。
でも、ふとはぐれてしまったら……
| 雪芽 | 2010/02/02 9:41 PM |
Spicaさん、こんばんは。
冷蔵庫の中にいるみたいなきりりとした寒さが続いているので、宵山の夏に思いを馳せて読みました。
孫太郎虫、押さえ切れない好奇心で検索したらそこには、、、ぎゃっ!
孫太郎虫の串刺しがいた。
見なかったことにしよう。
検索しないのが正解です。
京都へ行く時は森見さんの本をお供に連れていかなくては。
| 雪芽 | 2010/02/02 9:55 PM |
雪芽さん、こんばんは(^^)。
いやぁ・・・私も孫太郎虫を検索して酷い目に会いましたよ(笑)。
あれを食べたんだから、高藪さんは偉い!と思います♪
妄想現実化の調達係・小長井のトホホさに萌えました(#^.^#)。
あの『夜は短し〜』のゲリラ演劇の関係者なんですねぇ。ニヤニヤしてしまいました。
| 水無月・R | 2010/03/23 10:18 PM |
水無月・Rさん、お返事がすっかり遅くなってしまいすみません、汗。。。
今年は本を読むぞ〜、更新もサクサクのつもりがしばらく本の一冊さえ読まない日々が続いておりました。
最近読書のほうも徐々に復活しつつあります。

ところで水無月・Rさんは検索しちゃったのでね、アレを!!
恐ろしいことですねアレを食するとは…、高藪さん、なむなむ。
思わぬところで『夜は短し〜』の裏側がわかって面白かったです。
トホホ萌えですか(笑)
あの大成功(ですよね?)の影には、小長井くんの奮闘があったんですね〜
| 雪芽 | 2010/05/09 4:36 PM |

♯ コメントする









コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。


♯ この記事のトラックバックURL

♯ トラックバック

「宵山万華鏡」森見登美彦
宵山万華鏡クチコミを見る 森見さんらしいファンタスティックで、京都でしか成立しえない世界。とてもよかったです。そして、ただファンタスティックなだけでなく「きつねのはなし」のようなちょっと妖しくて怖さのある世界も混じり込んでいて、それがまたたまりませ
| 本のある生活 | 2010/02/01 7:01 PM |
森見登美彦 「宵山万華鏡」
宵山万華鏡(2009/07/03)森見登美彦商品詳細を見る 【内容】(「BOOK」データベースより) 祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と...
| ホシノ図書館 (本と映画の部屋) | 2010/02/01 8:53 PM |
『宵山万華鏡』/森見登美彦 ○
京都のお祭り「宵山」の日、幼い姉妹はそれぞれの冒険をし、おバカな「偽祇園祭」は計画&実行され、ある人はひたすら宵山の日を繰り返し、別世界に「宵山様」が存在し・・・。 森見登美彦さんが描く、不思議なファンタジーワールドは自在に姿を変え、伸び縮みし、何か
| 蒼のほとりで書に溺れ。 | 2010/03/23 9:01 PM |
ABOUT
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
TRACKBACK
ありがとうございます
COMMENTS
ありがとうございます
LINKS
MOBILE
qrcode
OTHERS