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*「塵よりよみがえり」

塵よりよみがえり
塵よりよみがえり
10月も終わりに近い。この時期になると何故かそわそわした気持ちになってくる。もうすぐ31日、万聖節前夜、ハロウィーンがやってくるからだ。ハロウィーンという言葉で思い出される小説家といえば、レイ・ブラッドベリ!
『何かが道をやってくる』や『10月はたそがれの国』、そのものずばり『ハロウィーンがやってきた』なんて題名の本があるほど、ブラッドベリにとって10月やハロウィーンは大切な意味合いを持っているのだろう。

SFの抒情詩人ともいわれるブラッドベリが、構想から完成に至るまで55年という年月を掛け、ようやく2000年に上梓したのが「塵よりよみがえり」だ。
とはいえ中のいくつかの話は、すでに短編の形をとって読者の前に発表されている。
だからブラッドベリファンには懐かしさもある新作といえる。
完成した小さなモチーフに魔法の吐息で新たな命を吹き込み、ひとつひとつを新しい言葉の糸で紡ぎ合わせるのだ。
部分として懐かしく、全体として新しい。
これまでブラッドベリの世界に魅せられてきた従来のファンも、初めて彼の作品を手にする読者も、詩的で美しい言葉が描き出す世界を存分に楽しめるようになっている。

物語は屋敷の屋根裏部屋で始まる。
<ひいが千回つくおばあちゃん>がティモシーに屋敷の成り立ちを、そして彼らがどこからやってきたかを話始めるところからだ。
彼ら。
暗闇と夜を愛する不思議な能力を持った一族。
十月の民、秋の種族。
眠りながら心を世界中に飛ばす能力を持ったセシー。
空を飛ぶ羽根を持つアイナーおじさん。
彼らは鏡に映らず、ワインを飲み、毒キノコを食し、昼に眠る。
ただ一人違っているのがティモシーだった。

十月、万聖節前夜、世界中から集まってきた一族の集会が始まろうとしていた。
彼らと同じように暗闇と夜を愛し、同じように永遠に生きる一族の一員でありたいと願うティモシー。
でも、願いとは遠く、温かい頬、温かい手、夜に眠り、太陽を愛する普通の男の子でしかないという現実を悲しむしかなかった。

人生はいちばんすくなく生きる者にとって最高なんだ。すくないほど値打ちがあるんだ、すくないほど!

優しいアイナーおじさんの言葉もティモシーには救いにならない。

やがて一族に変化の時が訪れる。
生と死を越えた一族とともに生きてきたティモシーだが、長い旅の準備を始めている彼の行く先は、果して一族と同じ道なのか、それとも…

シェイクスピアを足載せがわりに、ポオの『アッシャー家』を枕がわりに籠に入れられ、屋敷の前に置かれていたティモシー。
肌着にピンで止められていたメモに書かれていたのは歴史家の文字。
屋敷が呼んだんだ、とは<ひいが千回つくおばあちゃん>

屋敷がティモシーを呼んだのは何故?
結末を読み終えた時、囁くように聞こえてくるだろう、一族の物語が、四千四百年、九億の人々の死が。

ウは宇宙船のウ第九章の集会がとくに懐かしく感じるのはどうしてだろうと考えてみたら、答えは萩尾都望の『ウは宇宙船のウ』にあった。萩尾都望の絵が視覚的イメージとして焼きついている。
あとがきを書いている恩田陸同様、私もブラッドベリ以前に、漫画を通してベラッドベリ体験をしていたというわけだ。

文庫表紙は『アダムズ・ファミリー』でお馴染みのチャールズ・アダムズ。ブラッドベリ所有のもの。
10月というまさにこの本にはうってつけの月に、文庫化されたことが嬉しい。
| SF | 20:00 | comments(4) | trackbacks(0) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんにちは。
お忙しい中、コメントありがとうございます。
ブログ二つは大変かなって。
ご迷惑で無いなら、お邪魔してしまうのだけど(笑)。

「塵よりよみがえり」
読了なさったのですね。
ブラッドベリということでわくわくしながらお邪魔しました。
ハロウィーン=レイ・ブラッドベリ。
まさに、ビンゴの選書だなって。
不思議なくらいモチーフとして扱っていますし。
なんだか、パンプキンパイ作りたくなってしまいました(爆)。

でも、残念ながらこの作品は読んでません。
だから読書範囲が微妙にずれているのが、楽しくて。
得られるものがとても多いから。
いつも、美味しいレビューをご馳走様です(笑)。

『完成した小さなモチーフに魔法の吐息で新たな命を吹き込み、ひとつひとつを新しい言葉の糸で紡ぎ合わせるのだ』

イヤン((▽\*)≡(*/▽))イヤーン
こんなレビューを拝見したら誘惑に引き込まれてしまいそうです。恩田陸さんも大好きですし、
溜息またひとつ♪(By 春なのに)って感じです(笑)。
| littleapple | 2005/10/29 4:27 PM |
littleappleさん、こんばんは!
いつも遊びに来て頂いてありがとうございます。
もう熱烈大歓迎ですよ、はい。

更新が超スローなので、なんのおもてなしも出来ずにお帰り頂くことも多いかと思いますが、気長にお付き合い願えれば嬉しいです。
littleappleさん、分野が偏らずいろいろ読んでいらっしゃるので、ミーハー本能を刺激されて、コメントも楽しませて頂いてます。

秋になるとパンプキンパイを作りたくなりますね。
ブラッドベリの影響かしら。
近頃は同じかぼちゃでもパイじゃなくて煮物。
すっかり和風になってしまってます、汗

>読書範囲が微妙にずれているのが、楽しくて。

同じ想いです。
まったく同じではなく少しずれているところで、新たな興味が湧いてくる(興味×二乗)
こうして読みたい本が芋ずる式に増えていくのも、豊饒の秋にふさわしいかも。
| 雪芽 | 2005/10/29 11:33 PM |
雪芽さん、こんばんは。
おお〜!!「塵よりよみがえり」雪芽さんの感想楽しみにしていましたよ。
>完成した小さなモチーフに魔法の吐息で新たな命を吹き込み、ひとつひとつを新しい言葉の糸で紡ぎ合わせるのだ。
部分として懐かしく、全体として新しい。
う〜ん、素敵だわ、まさにそうですね。
懐かしい短編がこういう形で甦るとは・・嬉しい驚きでしたよね。

パンプキンパイ、私も食べたいです。
かぼちゃの天ぷらならよく食べるのですけど(笑)あとかぼちゃのスープ。

ブラッドベリ、文芸春秋から「死ぬ時はひとりぼっち」が出てるみたいですけど・・新刊なのでしょうかね・・
でも3000円って!!どんなに厚いんでしょうか・・とても買えないです(涙)






| | 2005/11/07 8:36 PM |
瞳さん、こんばんは!
今年のハロウィーンは忙しくしているうちに過ぎてました。寂しい〜
一足早く映画「チャーリーとチョコレート工場」でハロウィーン気分を味わえたのでよしとしてます。

それはブラッドベリ氏の新刊なんでしょうかね。
「死ぬ時はひとりぼっち」って^^;
最愛の奥様を亡くしていらっしゃいますからね。
う〜ん、身につまされるタイトルだわ。
尽きない創作意欲に感嘆してしまいます。
でも、3000円!!
買えないからせめて重さの感触を本屋で確かめてみたいと思います。
| 雪芽 | 2005/11/10 10:19 PM |

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