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*「鉱石倶楽部」

鉱石倶楽部
長野まゆみ

この文庫を本屋で見かけたのは今年の2月だった。
タイトルの鉱石の文字に眼がいく。
表紙にはきらきらと光る砂糖菓子のような結晶。
ページをぱらぱら繰ると、次から次へと心ときめく鉱物の写真の数々だ。
何故その時すぐに買わなかったのだろう。
後に本を手に入れようと本屋へ出向いた時には、数多の本の山に埋もれてついに探し出せず、私はこの本を見失ってしまった。
普通文庫のコーナーは出版社ごとに分かれているので、大概見つけられるはずなのだが、どこの本屋を巡っても見つけることは出来なかった。
ところがすっかり忘れた頃になって、先月のことだけど、面出しして書棚に置かれているこの本に出会った。
こんなところにいた。
今度は迷わず購入したのは言うまでもない。

長野まゆみの作品は文藝賞を受賞した『少年アリス』以外読んだことがない。自分でも不思議な気がする。本屋に並ぶ作品のタイトルを見るたびに、この中に書かれているのは好きな世界だろうなという気がしてはいるのだ。
少年、月、天体、鉱石と並べていくと稲垣足穂の世界にも通じる気がするが、なにしろほとんど読んでいないから、そんな気がする、というだけのことなのだが。
「鉱石倶楽部」に誘われたことだし、同じく鉱物を愛した作家宮澤賢治の名前の入った『賢治先生』から読んでみようか。

本書の内容について。
ゾロ博士の鉱物図鑑
放課後、理科教室に置き忘れてあった古い鉱物図鑑を見つけたことから、ゾロ博士の授業を受けることになった少年達の話を書いた短編。最後のオチに新美南吉の『手袋を買いに』が思い浮んだ。

石から生まれた18の物語
作者ならではの漢字使いで、鉱物が触れ合うような硬質な響きが心地良く、そこからどこまでも詩的イメージ世界が広がっていくような印象を受ける。
ひとつひとつのごく短い物語に添えられている鉱物の写真を見ているだけでも、それはそれは楽しい気分になるというもの。この世界が生み出すものは不思議に満ちている。時に幻想的で美しい。

砂糖菓子屋とある菓子職人のひとりごと
マロングラッセ、ミルフィユ、杏のジュレ、渦巻きドロップ、チョコレートのスフレ、ごくりと喉が鳴る美味しそうな名前が並んでいる。

アカトキツユと題された詩、なのだろうか最後の言葉が印象に残った。

でもあの暁にかがやく天を見れば惜しくない気持ちになる
きょうこれからの、まだ誰も知らない一日のほうが
きっと価値がある


石を売る舗
作者の石に関するエッセーとでもいうのだろうか、これが読んでいて面白い。
旨味しそうな鉱石、という表現もよくわかる。

子どもの頃、父はよく出張先からお土産を買ってきてくれた。名産の菓子以外では、地元の土産品店でよく目にする人形などであることが多かった。
ある時、それは石だった。
庭先でよく目にする玉砂利に似ていた。
訝しげな私に、それは食べれる石なのだと父は言う。
口に入れると甘味が広がっていった。
あまり美味しそうには見えなかったけれど、石に似せた飴だったのだ。もっと美味しそうに作ってもよさそうなものを、あれなら蛍石や薔薇石英、透きとおった水晶といった本物の石のほうが、見た目だけならよほど美味しそうに見えるのは確かだ。

他に鉱物小説としては、世界が徐々に結晶化していくJ.G.バラードの『結晶世界』なども好きな作品のひとつ。
| ■は行の作家■ | 21:46 | comments(8) | trackbacks(1) | | |

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♯ コメント

おはようございます
ここ数日、おさぼりで昨日と今日で5つレビューを
UPしてきた体たらく(笑)。

というわけで、ようやくお邪魔できました
O(≧▽≦)O ワーイ♪
雪芽さんのお住まいのところは、もしかしたら
もう雪が降っているのかも、なんて。

それはさておき。
長野まゆみさんのこの作品、面白そうですね。
雪芽さんの想いの入れようが文章から伝わってきます。
一度見失ってなかなか会えない本。
だからこそ再会したときにはとても嬉しい。
そういう出会いってすごくうらやましいです。

『砂糖菓子屋とある菓子職人のひとりごと』が
興味深いのは気のせいかしら(笑)
食欲先行ということもあるのだけど、
雪芽さんが引用なさった文章が、はかないのにきらきらと
輝いているように思えました。
こんなレビューを拝見したら、本屋さんで見つけたときに
誘惑に勝てるかどうか自信ないです(笑)。

鉱物というとレビューでも挙げられていましたが、
宮澤賢治がすぐに思い浮かびます。
長野まゆみさんと宮澤賢治さんはなぜか、自分の中では
ビジュアル的に同列というか(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪
特にますむらひろしさんの漫画がかぶってしまう。

って、本のお話はつきないですね(笑)。

突然ですが、これから出雲に行って来るのです。
なので、戻ってきたら速攻でお邪魔したいと思います。
(↑お話が溜まってしまって(爆)。聞いて下さ〜い★)

何だか慌ただしくなってしまって恐縮です。
お名残惜しいけど、行って来ま〜す
ヾ(@^▽^@)ノ~~~~~~~~~マタネー
| littleapple | 2005/11/19 7:46 AM |
littleapleさんは今頃出雲の地を踏んでいるのでしょうか。
それとももうお帰りかな。
出雲いいなぁ〜、羨ましいなぁ〜
一度は行ってみたい場所なんですよ。
『出雲国風土記』も読んでみたい本のひとつだし、『記紀』神話とは別に、まつろわぬ民の存在も興味あるんです。
小説を読むように簡単には読み切れませんが。

本多さんの「MOMENT」や他にも読了した本があるんですが、レビュー書くまでの時間がなかなかなくて。
今月は不作のブログ状態が続いてます^^;
『薄紅天女』も購入済、早く読みたいわ〜
坂上田村麻呂が出てくるんですね。この春にも岩手で蝦夷征伐の舞台となった達谷磐を見てきたところです。

同じ時に宮澤賢治の記念館にも行ってきました。
ますむらひろしさんの漫画ですね、はいはいわかります。
ますむら版「銀河鉄道の夜」もアニメになっていましたね。

札幌は今月初旬に初雪、根雪はまだだけど、昨日はあられも降りました。いよいよ冬本番到来。
大通りのホワイトイルミネーションも始まりましたよ。

お話尽きないですね、ほんと。
お帰りお待ちしてます。
| 雪芽 | 2005/11/20 4:55 PM |
ただいま、雪芽さん。
寒かったです〜(笑)。
ずっと憧れていた出雲大社に行ってきました。
だからすごく印象深かったというか。
神聖な気持になりました。
食べたおそばも、美味しくて。
(@ ̄¬ ̄@)ジュルリ♪
ただね、ものすごく不便な場所かも。
それに、せっかく行ったのに、「記紀にまつろわぬ神の存在」は知らなかったです。不勉強だけど。

ブログを書く時間…
ないの、わかります〜(笑)。
なかなか時間作るの難しいですよね。
気づいたら一日が終わってしまう。
雪芽さんはふたつお持ちだからとっても大変かなって。

「MOMENT」はいかがでしたか?
お時間ができたときに書かれるレビューを
楽しみにしてます。
「薄紅天女」も、厚いですよね。
面白いから読めてしまうのだけど、
お忙しいのに、チャレンジャーだわ。
でも、このレビューも待ってしまうかも知れません(笑)

宮澤賢治記念館に行ってらしたとか。
良いなあ
(∇〃)。o〇○ポワァーン♪
色々なものを吸収して帰ってくることができそう。

賢治と言えばますむらさんっていうのは、
読書量の少なさを漫画でカバーしていることの証明かもしれません(笑)。
映画ではないけれど、ますむらさんの『雪渡り・十力の金剛石』が強く印象に残っていて。
「かたゆきかんこ、しみゆきしんこ」だったかな。
この方言が書かれている箇所の歩くシーンが、
忘れられなくて。
猫が好きなのでイラストも抱きしめたくなってしまう。

さきほど、出雲は寒かったって言いましたけど、
雪はまだでした。
北海道はやはり北国なのですね。
有名なイルミネーション、きっとロマンチックなのかなって思います。

それにしても。
ついたくさん書いてしまう。
もう少ししたら家を出ないとです〜(笑)
| littleapple | 2005/11/22 8:20 AM |
うわ、これ、私もどうしようか・・って思いつつ、棚に戻しちゃった本なのですよ。
買えばよかった・・いや、買ってこよう(笑)雪芽さんのレビュー読んだらすごく読みたい本が増えちゃいます(笑)
「結晶世界」も気になりますね〜。

石のお話、実は、「石の夢」っていう本を読んだのを思い出して感想書いたばかりだったので、なんだか不思議です(笑)こちらは結構怖い・・のですけど。
「石」を言えば、「天空の城ラピュタ」の鉱山のシーンも思い出します。
| 瞳 | 2005/11/24 12:37 AM |
littleappleさん、おかえりなさい!
お帰りになってからだいぶ過ぎてしまいましたが^^;

出雲の旅、満喫されたようですね。
一度は行ってみたい場所です。
でも、北海道からだと直行便が出ていないので、
出雲の神様達に会いに行くには大変な旅になるみたい。

ますむらさんの漫画、絵本雑誌の「MOE」で
よく目にした覚えがあります。
猫好きなlittleappleさんですものね、
思わず抱きしめたくなる気持ちわかります。
(アタゴオル物語のヒデヨシを思い浮かべているところ)

「MOMENT」やっと感想をupしましたよ〜
本だけはどんどん読んでいっているので、
先に読んだ本の記憶が飛んでいかないうちに
なんとかせんとと、ちょっと焦りました。
まるでトコロテンみたいな記憶力ですが(笑)
| 雪芽 | 2005/11/25 10:53 PM |
この本、瞳さんの目にも止まっていたんですね。
私は著者の名前というより、ひたすら鉱物趣味で
購入したものですから、ある意味邪道?
でも、くるくる景色を変えるカレイドスコープに映る、
異世界の少年達の姿をこちらから覗き込むようで、
物語も楽しめましたよ。

瞳さんの「石の夢」のレビュー読ませて頂きました!
最近SF読んでないのですけど、読んでみたくなりますねぇ。
夢繋がりでいうと、シオドア・スタージョンの
「夢見る宝石」がありますが、これ、読んだのか、
読もうと思って未読なのか思い出せないんですよ。
石の魔法にかかっったみたいです、汗

ラピュタですね〜、そうでした鉱山!
こうして書いているうちにいろいろ思い出してくるものですね。
頭の中のどこの引き出しに仕舞ったか、
わからない記憶が多くて困ります。
| 雪芽 | 2005/11/25 11:25 PM |
こんにちは。
TBありがとうございます。

雪芽さんは、一度この本を見失ってから、再び再開したとのこと。
きっと出会う運命だったんでしょうね。

鉱石との出会いでも、そういうことがあります。
まるで石に呼び寄せられるように、ふと目をやった先に
自分好みの石がいるなんてこともしばしば……。
| 空穂 | 2006/01/15 11:07 PM |
空穂さん、こんばんは。
ああ、なんかおっしゃることよくわかります。
ストーン・ショップにいって石を探す時、
同じ種類の石でも呼び合うのとそうでないのと。
だから簡単には家に連れて帰れません。
鉱石も本も同じように、何かに引かれるように出合う瞬間がありますね。
その瞬間がすごく嬉しいんです。
| 雪芽 | 2006/01/16 9:07 PM |

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