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*「北緯四十三度の神話」

北緯四十三度の神話
浅倉 卓弥

北緯四十三度に位置する北の街は、いま長い冬のただ中にある。すべてを包み込むように白い雪に覆われた風景。先の見えない吹雪の中を歩めば、どこか異界に運ばれるようでもある。

浅倉卓弥の「北緯四十三度の神話」の主人公は、桜庭菜穂子と和貴子の姉妹。現在姉の菜穂子は大学の研究室に助手として勤務、妹の和貴子は地元ラジオ局でDJをしていた。
このひとつ違いの姉妹は表面的には普通に接しているようでいて、外からは窺い知れない溝のようなものを抱えている。その理由を知るには、いくらか過去に遡ることになる。
東京の大学に進学した和貴子が就職で地元へ戻ってくる。半年後、和貴子が婚約者として家に連れてきたのは、菜穂子もよく知る樫村宏樹だった。
その樫村が事故で亡くなって以来、姉妹の間には深い溝ができる。樫村というひとりの男を軸に、ふたりがそれぞれ抱く想い。長年、互いに触れないように、相手に訊かないように、言わずにいた想いが、降り積もった幾層もの雪の下に覆い隠されるかのように、ふたりの間の冷たい距離となって横たわっていた。
真実を包み隠す雪の純白。
しかし、その下には悲しみや憎しみ嫉妬といった感情が眠っている。12月、1月と、この時期雪はまだ深い。けれどいったん目覚めた感情は、出口を求めて冷たい雪を溶かしていくことになる。
菜穂子と和貴子は互いを合わせ鏡のように、相手に自己を投影し、傷つき傷つけ合いながら自分と向き合い、真実の自分の姿をみつけていく。

姉妹は中学の頃に両親を交通事故で亡くしている。
両親を亡くし、ともに想いを寄せたひとりの男を亡くし、悲劇の連続性はそれこそ神話につきもの?
姉妹の感情の動きが極め細やかに描かれている。
融和し、擦れ違い、求め合い、拒絶し、厳しい冬を越えようとする意志があったからこそ、温かな光がみえてくるのだろう。

たとえ泣ける話と銘打ってあっても、そのために本を手に取るのは好きではない。泣くために本を読むことはないから。でもこの本、ちょっと泣かされた。
和貴子がラジオDJ中にかける洋楽の名曲の数々も、知る者にとっては懐かしく頭の中で響いてきそうだ。

日下助教授(菜穂子の上司である)へ
印籠をかざす二重螺旋の格さんが、思い切りツボに入ってしまった人がここにもおります。
| 浅倉卓弥 | 16:24 | comments(7) | trackbacks(3) | | |

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♯ コメント

雪芽さん、こんばんわ〜。
速攻でお邪魔しました(笑)
TBさせていただきますので、よろしくお願いします
格さんがツボにはまった…。
( ̄m ̄〃)ぷぷっ!

助教授のお話を思い出してPC前で笑ってます(爆)
このお話、切なかったですよね。
物語もとても繊細で。
とはいえ、両親と恋人の喪失の設定になじめなくて、
レビュー書くのに苦戦したんです(苦笑)。
それを除けば、あるいは自分が感じた違和感を持たない人なら、きっと楽しめると思うから。

「たとえ泣ける話と銘打ってあっても、そのために本を手に取るのは好きではない。泣くために本を読むことはないから。」
自分もそうですよ〜。
表紙の挿絵に引かれたのがきっかけでしたし(笑)。
Σ(=д=ノ)ノ アゥーン!!
文章作成能力まだまだ修行(?)が必要なのかも〜(苦笑)。
| littleapple | 2006/01/30 11:01 PM |
余談です(笑)
レビュー少し修正してみました。
ついでの時にでも読んでいって下さいね。
ヽ(*^^*)ノ

それでは、ご報告でした☆ミ
おやすみなさ〜い♪
| littleapple | 2006/01/30 11:21 PM |
littleappleさん速攻でありがとうございます。

>両親と恋人の喪失の設定になじめなくて

妹の恋人が飛ぶことへの興味を語る場面は、唐突だし動機づけに説得力が乏しい気が。
姉妹の心の捻じれ、すれ違いはすでに両親の死後一度表に出てきてますね。風船事件の時に。
あの時空へ飛んでいった赤い風船は、姉妹の心の隔絶を象徴するかのよう。
模型飛行機は姉妹の心が解き放たれることの象徴のようでもあり。
そんなふうに考えると、二つの喪失と、それに係る風船と模型飛行機も合わせて、上手く物語の中に配置されているように思えてきます。勝手な解釈ですけど。
でも、都合良過ぎといえなくもないでしょうか。
私が気になったのは、後見人となる祖父母の経済環境その他。
両親の喪失を除けば豊かな暮らし、成人後は方や大学の助手、方やラジオ局のパーソナリティ。日常的衣食住は祖父母任せだし、絵に描いたような生活で、羨ましいといえば羨ましい(笑)
よくよく考えるとあれ?って思うこともあるけど、雪の気配を感じる小説で好みでした。
浅倉さん、気になるので他の作品も読んでみようと思ってます。

レビュー修正されたんですね。
また遊びに行きます!
| 雪芽 | 2006/02/02 12:05 AM |
こんばんわ〜
東京は寒くなったり暖かくなったり、差が激しいです(苦笑)
それはさておき、コメントありがとうございました。
雪芽さんのお気遣いは、いつも嬉しくって、ありがたくって。ますます、好きになってしまいました。
(〃∇〃) てれっ☆

書評って言うと、言いすぎなのかな。
自分の場合は読書感想文くらいだけど、読んだ本が自分に合わなくても、人によっては合うこともありますよね。

作品によっては、自分の読む力量の無いために合わないこともあるし、単に好みの問題に過ぎないこともあるし、あるいは、今の自分が求めていないこともあるし、理由は色々で。
けれど、単なる駄作って言うのはないと思うんです。
合わないだけで、つまらないとか良くないとかって絶対に言えない。

だから、出来るだけ良し悪しについては触れないように気をつけているんです。
でも、これが上手く行かなくて(苦笑)。
もちろん、紹介できないくらい合わない本は、最初からUPしないようにしてるし、良いなって思う本は胸を張ってお勧めしちゃうけど(笑)。

この作品も、合わないなって言う点がいくつかあって、
それでも、姉妹の感情の機微や構成の工夫、音楽の良さ、自然描写の美しさなんかを思うと、判断は読んだ方がすべきだって思ったんです。物語自体は、嫌いでなかったから。
見事に涙腺にきましたし(笑)。

だから、雪芽さんのレビューを拝見して、修正しようって。
そういう意味でも感謝です。

そうそう。
雪芽さんも疑問に思う箇所があったって伺って、少し安心してしまいました。
なんでだろ(爆)。
(*'ー'*)ふふっ♪

「しゃばけ」をお読みになっているとかって。
ものごっつ、面白かったです!
「ぬしさまへ」を即予約しましたもん♪

雪芽さんのレビュー楽しみにしてますね。
自分も週末にはUPするからおそろいですよ〜ん
O(≧▽≦)O ワーイ♪

| littelapple | 2006/02/03 9:45 PM |
こんばんは!
昨日は大雪ですごい勢いで降っては積もり、降っては積もり、すっかり街が雪に埋もれてます。
そういえば明日から雪祭りだわ。

わかります、その本が合う合わない、好き嫌い、っていうのはすべて自分にとってなんですよね。
とても主観的なもの。
ひとつの本に対する自分の感じ方も、自分の状況やその時の興味が向っている方向で変わってきますものね。
本と読み手の関係ってとても流動的なのかも。
自分の力量が試される本もある。これ耳が痛い。
自分の心の振り子が大きく揺れたり、じわ〜っと奥深く染みこんでいくような本にたくさん出会いたいなって思います。
でも、自分の本へのアンテナが届かないところもある。
だから、littleappleさんのブログにお邪魔すると驚きがいっぱいなんですよ。
こんな本もあるんだ!って。
いつもワクワクと嬉しくさせてもらってます。

「しゃばけ」面白かったですよ〜
好きなんだなぁ、こういうの。
感想も記憶が新しいうちにと思ってupしました。
littleappleさんのレビューが楽しみ。
| 雪芽 | 2006/02/05 6:44 PM |
小説読んで泣くことは少ないのですが、これは久々泣けました。
設定と文体で泣かそうとする小説が多いような気がするのですが、わたしはそういうのは全然ダメなんです。もう純真さがなくなっているので、この小説みたいに、きめ細かい演出で揺さぶってくれないと(笑)。
ただし、泣ける場面にくるまでは、作り物っぽさを感じていたので、突っ込みどころはあるんでしょうけど・・・
TBさせていただきました。
| ひねもじら 乃太朗 | 2006/02/10 12:10 AM |
乃太朗さんTB、コメントありがとうございます。
書店で見かけて気になっていたこの本を読む後押しをしてくれたのは、乃太朗さんのレビューだったんですよ。
「人の心の上澄みで作られたキレイごと」に見事に泣かされましたね。
濁った水でも綺麗な花を咲かせる蓮に、素直にきれいだなぁって思うように、作者がキレイごとの中で伝えたかったことに素直に感動するのも、たまにはいいものですね。
涙の効用は、心の緊張を解きほぐすことだそうです。
| 雪芽 | 2006/02/11 11:35 AM |

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