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*「塵よりよみがえり」塵よりよみがえり 10月も終わりに近い。この時期になると何故かそわそわした気持ちになってくる。もうすぐ31日、万聖節前夜、ハロウィーンがやってくるからだ。ハロウィーンという言葉で思い出される小説家といえば、レイ・ブラッドベリ! 『何かが道をやってくる』や『10月はたそがれの国』、そのものずばり『ハロウィーンがやってきた』なんて題名の本があるほど、ブラッドベリにとって10月やハロウィーンは大切な意味合いを持っているのだろう。 SFの抒情詩人ともいわれるブラッドベリが、構想から完成に至るまで55年という年月を掛け、ようやく2000年に上梓したのが「塵よりよみがえり」だ。 *「麦の海に沈む果実」 恩田陸麦の海に沈む果実 恩田 陸 これは、私が古い革のトランクを取り戻すまでの物語である。 北の大地の東、国内最大級の湿原が広がる。灰色の風景の中、水野理瀬を乗せた列車は走り続ける。向う先にあるのは、もとは修道院だった全寮制の学園。 湿原の中の要塞を思わせる青の丘にあるその学園に、理瀬は二月最後の日の転入生として足を踏み入れる。 二月最後の日にやって来た転入生。学園の生徒達にとってそのことの意味は大きい。 何故なら此処は「三月の国」、三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれているからだった。 *「西の魔女が死んだ」 梨木香歩西の魔女が死んだ 梨木 香歩 中学に進んでまもなくの五月、学校に行くことが出来なくなってしまったまい。 きっかけは喘息の発作。 まもなく喘息は治まるが、学校へは行けなかった。 人が躓く時、些細なきっかけが躓きの小石となるものだ。 振り返った時に初めて気づく、ああ、あれが、と。 きっかけなんて、そんなものだ。 ママはまいを西の魔女のもとへ預けることにする。 西の魔女、ママのママ、まいの大好きなおばあちゃんのもとで過ごした一ケ月あまりの日々。 まいの魔女修業の日々でもあった。 だって、おばあちゃんは「本物の魔女」なのだから。まいはおばあちゃんの孫なのだから。 自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力 これが魔女になるために一番大切なことだと、おばあちゃんはまいに教える。 *「園芸家十二ケ月」園芸家12カ月 カレル・チャペックという名前を聞いたことがあるだろうか? 答えがイエスなら、ひとまずお茶でも飲んでお待ち頂きたい。 ノー、知らないという答えの方にだけ質問。 では、ロボットという言葉を知っていますか? *「薬指の標本」 小川洋子楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。 薬指の標本 「標本室」で働く主人公のわたしと標本技師弟子丸氏、ふたりはグラスとグラスが触れ合うひそやかさで愛を重ねる。 硬質で高音な響きを奏でるのが、ふたりの愛のカタチだ。 すべは標本室に並ぶ標本のように整然としている。 *「蝉しぐれ」蝉しぐれ 海坂藩普請組組屋敷の裏に流れる清流。庄内地方の緑豊かな風景が周囲に広がる。 家が隣同士の牧文四郎とふくは、川岸で顔を合わせるうち、恋心ともしかと意識されない淡い想いを抱くのだが…… 文四郎を取り巻くのどかな風景はある時をもって一変する。 義父牧助左衛門は藩の世継ぎ争いに巻き込まれ切腹、反逆者の子として生きることを余儀なくされる文四郎。苛酷な運命にも真っ直ぐに向き合っていく姿が清々しい。 文四郎とふくの淡い恋の行方も、ふくの江戸行きで、互いの心に淡い恋の炎を残したまま分かたれることになる。 *「蝉しぐれ」原作 「蝉しぐれ」 藤沢周平 監督 黒土三男 出演 市川染五郎 木村佳乃 緒形拳 原田美枝子 今田耕司 ふかわりょう 柄本明 2005年 日本 江戸時代、下級武士の養父によって育てられた牧文四郎。彼は父を誰よりも尊敬していたが、その父は切腹の運命に遭ってしまう。謀反人の子としての汚名を着せられた文四郎は、母を助けながら、質素に暮らしていく。そこには変わらず彼に接する幼なじみたちの姿もあった。数年後、牧家は名誉回復を言い渡される。そんな中、幼い頃から想い続け、今や殿の側室となっていた、ふくが派閥闘争に巻き込まれていることを、文四郎は知るのだった。 以下はネタバレあり。 *「チャーリーとチョコレート工場」原作 「チョコレート工場の秘密」 ロアルド・ダール アメリカ 2005年 監督 ティム・バートン 出演 ジョニー・デップ フレディ・ハイモア ヘレナ・ボナム=カーター デヴィッド・ケリー ディープ・ロイ クリストファー・リー チャーリー・バケット少年は父と母、ふた組の祖父母の一家7人で暮らしていた。傾いていまにも壊れそうな家、父は失業中、母が家族のために作れるご馳走といえば薄めたキャベツスープ。 それでもチャーリーは幸せに暮らしていた。 ある時、そんなチャーリーにとんでもない幸運が巡ってくる。 世界で一番大きくて、世界で一番有名なウォンカのチョコレート工場を見学することのできる、ゴールデン・チケットを手に入れたのだ。 やっとという感じだが、「チャーリーとチョコレート工場」を観てきた。 *「夜のピクニック」 恩田陸夜のピクニック 恩田 陸 新潮社 (2004/7/31) 単行本: 342ページ みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。 朝の八時から翌朝の八時まで、夜中の数時間の仮眠を挟んで、八十キロの距離を全校生徒が歩く「歩行祭」 読んでいると、ただ歩くことが特別なことになるその過程を、一緒に体験している気持ちになってくる。もしかするとクラスの集合写真に写り込んだ謎の人物として、自分がこの物語の中に存在するんじゃないだろうか、そんな埒もないことを想像してみる。 *「宙の名前」宙(そら)の名前 林 完次 長い光の帯が地平線の彼方に吸い込まれていく夕刻。 名残り尽きないように、空とこの地の狭間、陽の涙をひと粒浮べ、太陽が誰かの朝へ向って落ちていく瞬間。 信号待ちの街角で、家路を急ぐ道すがら、我を忘れて見てしまう風景がある。 「誰(た)そ彼(か)れ時」は、誰であるか判別できない夕方の薄暗い時刻のことをいう。 闇が深くなることは、光に覆われていた宙が、視界の果てまでも広がることでもある。 林完次の写真と文による「宙の名前」は、空とひとつにして別の顔を持つ、もうひとつのソラの魅力を、美しい写真と古今東西のいにしえの言葉によって伝える。 私が持っているのは光琳社出版刊行のもので、タイトルは「宙ノ名前」となっている。 角川書店のは新装版で「宙の名前」 好みからいうと、のではなくノであって欲しかった。 | 1/2PAGES | >>
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