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*「永遠の出口」森 絵都 小学3年生から高校を卒業するまでの9年間、主人公紀子が駆け抜けた青春の時を、1章から9章に分けて懐かしい時代の匂いとともに描いてみせている。 児童文学を手掛けてきた作者が始めてその枠を越えて取り組んだ作品ということらしく、第1回本屋大賞第4位作品。同じ作者の他の作品はいまだ積読本の中に埋もれていることもあり、初めて読む森作品でもある。率直な感想をまず書くとすれば、面白かったということに尽きる。 *ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女“アキヘヤ”の大きな衣装だんす、並ぶ毛皮ロードを抜けると、そこは百年の冬が続くナルニア。ルーシーとナルニアとの出会いの場面はとても印象的だった。 昨日からの雪で、真冬に逆戻りしたような我が街。玄関を開けるとそこはナルニアと同じ雪世界が広がっている。寒い〜、だからといって都合よく毛皮があるわけでなし。これが現実の世界なのね。 映画「ナルニア国物語」、本日2度目の鑑賞。 公開されてほどない頃に一度観て、その後原作を読み、頭の中に第1章のストーリー展開が入っているので、今日は初回よりじっくり楽しむことができた。流れがわかっていても飽きることなく楽しめる。映像の迫力というのだろうか。 この先はネタバレあり、注意! *「魔性の子」小野 不由美 神隠しを題材とする小野不由美のホラー小説「魔性の子」 教育実習で母校に戻った広瀬は、受け持ったクラスの中で、周りの生徒から孤立する高里の存在に興味を抱くようになる。 彼の周囲で相次ぐ謎の怪我や死。その原因は高里にあるのではないか、彼は“祟る”のではないかと生徒達から恐れられていた。怖れが高里を孤立させていた。 広瀬は自分との間に、ある共通性を感じるようになる。 高里は幼い頃神隠しにあったとされていた。広瀬も幼い頃の記憶としてあの世を見ている。この世界ではない別のどこかに、自分の真の居場所があるのではないかという現実への疎外感が、広瀬を高里へと向わせる。 *「退屈姫君 恋に燃える」米村 圭伍 退屈姫君めだか姫が活躍する好評(私の中では大好評につき早く続編希望)シリーズ第三弾。 頃は秋。 秋に鳴くのはなにも秋虫に限ったことにあらず、めだか姫の退屈の虫が早くも騒ぎ出した様子。今度の姫の退屈しのぎは恋。それも身分違いの燃えるような恋だという。 姫、それはいくらなんでも不味いのでは。だっていまだに姫とは呼ばれているものの、あなた様はもはや人の妻。いくら弱小とはいえ、風見藩藩主時羽直重のれっきとした正室なのだから、いくら夫が国許にいて不在とはいえ、恋とは由々しきこと! *「黄昏の百合の骨」恩田 陸 周りから密やかに『魔女の家』と囁かれる洋館白百合荘。水野理瀬は亡くなった祖母の遺言を果たすため、留学先のイギリスから戻ってくる。残された遺言は、自分が死んでも理瀬が半年以上ここに住まない限り、家は処分してはならないというもの。祖母が意図したこととは何か。 洋館に咲く濃密な百合の香り、同居する義理のおば梨南子と梨耶子姉妹、洋館の二階に住む妖精の話、猫の死、少年の失踪、物語上に点在する複数の謎。中でもとりわけ重要な謎と思われるのがジュピター。果たしてジュピターとは何を意味するのか。 *「包帯クラブ」天童 荒太 The Bandage Club “傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした……。” 天童荒太6年ぶりの書き下ろし長編小説ということで読んでみた。 この本、本屋に行くとたくさん平積みにされて置かれている。手に取っては迷い、どうしようかと買う決断がつかずにいたら、先月だったろうか、ちょうどTV『王様のブランチ』本のコーナーで作者の特集があった。 長身でなかなかハンサムな風貌、語り口は柔らかい。その外見的印象からは想像もできないほど、創作に対する姿勢はストイックかつマニアック。『永遠の仔』の創作ノートを埋め尽くした文字、物語を構築する緻密な作業にはしばし唖然。やっぱりこの人の本は読んでみなくてはと思い、即購入して読んだという次第。 「包帯クラブ」に話は戻る。 目に見える外的な傷には包帯が巻かれる。 ならば目に見えない心の傷に包帯を巻く方法はあるのか。 *「ねこのばば」畠中 恵 えっ!?あの若だんながグレちゃった? なんて本の帯に衝撃的なキャッチコピーが書いてあるものだから、あの若だんなが?まさかまさか!と読み始めた「しゃばけシリーズ」第三弾。同じく帯に書かれている“映画化プロジェクト始動!”の文字も気になるところだけど、まずは花のお江戸の繁華な通町、廻船問屋兼薬種問屋長崎屋へお邪魔してみよう。 今日も病弱な若だんなは長崎屋の離れで遅い昼餉を取っている。 側でせっせと世話を焼いているのは手代の佐助と仁吉の妖コンビ。推理仕立ての風味の中に、人の世の人情とちょっぴりもの哀しさをピリリと効かせ、すっかりお馴染となった面々が活躍する筋立ては今回も同じ。 *「ナラタージュ」島本 理生 静かに切なさが注がれていく。注がれた切なさが満ちていく。満ちた切なさが激しく波打つ。想いを寄せ合うふたりが選んだ結末とは。繰り返し甦る愛の記憶と痛みの中で続く、終わらないラブストーリー。 島本作品は「リトル・バイ・リトル」に次いで2作目。 この人の文章は読んでいて、違和感なくすとんと心の内に落ちてくるので心地良い。 ここでも主人公は淡々とした第三者的視点を持つ。そこに冷たい感触はなくて、だからといって温かいわけではないが、まるで繊細な観察者といったものを主人公の言葉から感じる。痛みの痛点を鈍くするための自己防衛でもあるのか。物語の場の空気に淡く潜む切ない匂い。が、誰だって心が波立つことはあるものだ。心情が表に激しく吐露される時、彼女の想いが、そこにある哀しさや切なさがより強い印象で顔を覗かせる。 *「闇の左手」アーシュラ・K・ル・グィン セレム・ハルス・レム・イル・エストラーベン。 呪文のような長い名前を持つのはカルハイドの宰相で、失脚後には物語の主人公ゲンリー・アイと共に、ゴブラン氷原を逃避行する人物。反逆者エストラーベンとも呼ばれる。 この本はル・グィンの<ハイニッシュ・ユニバース>と称される作品群のひとつに連なるもので、ヒューゴー賞とネビュラ賞受賞に輝く作品でもある。 *「退屈姫君 海を渡る」米村 圭伍 退屈姫君、めだか姫が活躍するシリーズ第二弾。 『退屈姫君伝』で風見藩二万五千石の藩主、時羽直重のもとへ嫁いだめだか姫だったが、夫は参勤交代で国許へ帰って不在。 残された姫はといえば、いつもの台詞が口を突いて出る。 「ああ、このままでは退屈で死んでしまいそう」 そんなところへくノ一お仙が天下の一大事の報を持ってやってくる。 天下の一大事と聞いて「すてきすてき」と嬉しがるめだか姫だが。 | 1/2PAGES | >>
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