本や映画の感想、日々の雑感などを徒然に書いております
ネタバレもあるので未読の方はご注意ください
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*「村田エフェンディ滞土録」 梨木香歩

村田エフェンディ滞土録
村田エフェンディ滞土録
梨木 香歩
土耳古(トルコ)皇帝の招きにより、彼の地に歴史文化研究のため赴いた日本人留学生村田の土耳古滞在記。

村田は『家守綺譚』の中で、主人公綿貫の友人として出てきた人物である。滞在先の土耳古から便りを送って寄越したのであった。
『家守綺譚』は美しい日本語に魅了され、旧き良き時代が持つ風情の居心地の良さに酔いしれた作品だった。だから作中に登場した人物が主人公となる本があると知り、どうしても読みたいと思った。いったん読みたいとなると、なんとしても読まねばという、一歩進んだ強い気持ちが生じてくる。
となれば、あとは行動あるのみ。
仕事帰り、夜の街をガタゴトと走る市電に乗り、往復1時間かけて図書館に向う。そこまでして読みたいものかと自分の行動を嗤いもするが、そこまでしても読んで良かったと、しみじみ思った読後感だった。
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| 梨木香歩 | 12:43 | comments(4) | trackbacks(3) | | |

*「優しい音楽」 瀬尾まいこ

優しい音楽
優しい音楽
瀬尾 まいこ
受けとめきれない現実。止まってしまった時間―。だけど少しだけ、がんばればいい。きっとまた、スタートできる。家族、恋人たちの温かなつながりが心にまっすぐ届いて、じんとしみわたる。軽やかな希望に満ちた3編を収録。
(「BOOK」データベースより)


とても読み易い文章であったし、作品全体が醸し出す雰囲気も柔らかく、さほど時間もかからずにサクサクと1冊読めてしまった。
まあるく丸まった猫の綿毛が、肌の上を転がっていくような感触である。ふわふわとして心地良いような気もするが、読み終わった後の印象は薄い。あれ、これだけ?という喰い足りなさが残った作品でもある。
3つの短篇の感想を少し。
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| 瀬尾まいこ | 22:09 | comments(6) | trackbacks(3) | | |

*「アフターダーク」 村上春樹

アフターダーク
アフターダーク
村上 春樹
時計の針は深夜零時少し前を指している。章が変わるごとにアナログ時計の針は闇に深く分け入り、闇を貫いて始まりの時へと刻々と針を進めていく。
“真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。”
深夜零時から明け方までの7時間あまりを、夜が持つ静寂さに満ちた文章で描いている。
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| 村上春樹 | 16:59 | comments(6) | trackbacks(4) | | |

*「家守綺譚」 梨木香歩

家守綺譚
家守綺譚
梨木 香歩

日常にこぼれ出る豊饒な気配
花は人を恋、水は友を招く
それは、ついこのあいだ、
ほんの百年すこし前の物語。


文庫の帯に並ぶ言葉を読んだだけで、予感めいたものを感じてしまう。自分はきっとこの本の世界を気に入るに違いない。そう確信する気持ちの根拠はなんだと問われても答えようがないのだが、ただただそう思ったのだ。

物書きを志す綿貫征四郎は、学生時代の親友であった亡き高堂の父から、庭つき池つき電灯つき二階屋の家守を頼まれる。
移ろいゆく四季の折々に邂逅するのは、草、花、鳥、獣はいうのおよばず、小鬼、河童、人魚、竜、竹の精、と亡き友…。日常と異界が交じり合う風景に佇む、私こと綿貫征四郎の家守としての日々を、潔く簡潔な美しい日本語で紡ぎ出す。
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| 梨木香歩 | 22:30 | comments(19) | trackbacks(8) | | |

*「レインツリーの国」 有川 浩

レインツリーの国
レインツリーの国
有川 浩
関西から東京の会社へ就職、3年が過ぎ仕事にも慣れた頃、向坂伸行はネットである本のタイトルを検索してみる。中学生の頃に読んだライトノベルシリーズで、衝撃を受けたラストを他の人はどう受け止めたのだろうという、ふとした思いつきからだった。
検索で辿り着いたのは「レインツリーの国」というブログ。探し求めていた本の感想を読んだ伸行は、管理人のひとみにメールを送る。打てば響くようなメールの交換が続き、伸行はひとみに会いたいと強く願うようになる。直接会って話がしてみたい。
ところがひとみはその提案を頑なに拒む。実は拒むにはある理由があったのだが…

「図書館内乱」に登場する本「レインツリーの国」が実際の本となって出版された。出版社の枠を越えた本のコラボだ。しかも有川浩が得意とするところの飛び道具なしの青春恋愛小説。図書館シリーズでも恋愛要素はたっぷりあったが、ラブコメ色が色濃かったので、恋愛小説との真っ向勝負となるとちょっと想像がつかなかった。
ところがである。これほど泣かされるとは思いもしなかった。
ホロリ?いやいやまだまだ。
はらはらと流れ落ちる?もうちょい。
それはもうボロボロと泣けたのである。

会ったこともなく、もちろん顔も知らない相手なのにメール交換が楽しくて仕方ない。普段なら口にしないはずの言葉も恥ずかしげもなく書けてしまう。読んでいるとふたりの弾むような気持ちが手に取るように伝わってくる。このワクワク感はわかるなぁ。
相手の顔色を伺うこともない、肌の温もりに触れることもない、匂いも、耳に届く声の響きもない、文字だけがふたりを繋いでいる。メールは五感のうち視覚のみに一点集中した繋がりだ。そのことが親密さを生みやすくしているのかもしれない。
伸行の働きかけから、ふたりの関係がネット上でのみ相対するという境界線を越えようとした時、大きな障壁にぶつかることになる。
恋愛小説であるが、男と女が向き合うというだけでなしに、深く考えさせられる問題を突きつけられた感がある。無知から気づかずにいたことも多い。この本を読んで、気づかずに傷つけてしまうことがあるのだということ、その痛みに改めて思い至る。
伸行が使う関西弁の軽妙さがあるので印象としては少し軽減されているように感じるが、内容としてはかなり重いといえる。途中ど〜んと重くじれったく苦しいからこそ、ラストでの決断と行動が生きるのだと思った。
簡単に越えていける問題ではない。その難しさも書かれている。それでも前へ踏み出そうとする一歩の力強さがいい。

「図書館内乱」の読者であるならひとみが会うのを拒む理由がわかると思うが、未読でこの本を先に読む読者の方には、理由を知って読む際の興が削がれるといけないので、これから先はどうぞ読まないように。以下はネタバレにつき注意!
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| 有川 浩 | 22:31 | comments(18) | trackbacks(12) | | |

*着々と、ちゃくちゃくと

午後から用事があって外出。帰り道探している本を求めて本屋巡りをした。シリーズものは出た時に買っておかないと、新刊が出ていざ通して読みたいと思った時に、何巻目かがないということになりかねない。そこで本屋の梯子となる。

今週買った文庫本。

「仔羊の巣」坂木司
「動物園の鳥」坂木司(ついにシリーズ最終巻が文庫で出た!)
ひきこもり探偵シリーズ第一弾は「青空の卵」
これで全巻揃ったのでいつでも心おきなく読める。

「平安妖異伝」平岩弓枝
「道長の冒険」平岩弓枝
まず本屋で新刊の「道長の冒険」を買う。ところがシリーズ第一弾の「平安妖異伝」がなかなかみつからない。なければ余計に欲しくなるというもの。駅前の大型書店にて無事購入。

あとはこの3冊。
「裏庭」梨木香歩
「アフターダーク」村上春樹
「永遠。」村山由佳

気づいてみれば文庫だけで7冊。着々と積読本が増えている。これで着々と読書も進んでいればいいのだけど、空白の多いブログの更新をみればわかるとおり、遅々として進まない読書。秋の夜長の時間はどこへ消えていってしまっているのだろう。

本屋巡りの途中、誰ぞ肩を叩く人がいる。何奴?と思ったら長年来の友人だった。仕事帰りだという。ついのこの間会ったばかりだけど、偶然ばったりというのが嬉しい。たくさんの人が行き交う夕刻、見知った者同士が偶然すれ違う確率ってどれくらいなんだろう。
まあまあ、それじゃあお茶でもしましょうかということになり、ひとしきり話して帰ってきた。
日々の中に突然落っこちてくる嬉しいサプライズは大歓迎だ。
| 365分の1ーもの想う日々 | 22:42 | comments(2) | trackbacks(0) | | |

*「一日江戸人」 杉浦日向子

一日江戸人
一日江戸人
杉浦 日向子
日本に限らず歴史物を読むのは好きなほうだと思っている。
たとえそれが架空の物語、トールキンの『指輪物語』に描かれる中つ国のことであろうと、銀河帝国と自由惑星同盟との攻防を描く田中芳樹の傑作SF小説『銀河英雄伝説』であろうと構わない。
人がいる。ひとつの時代がある。時代に必要とされその人が生れ落ちるのか、人が流れをつくり時代を築くのか。
遺跡や古文書、ひとかけらの遺物から、人々の息遣いを知ることこそが楽しい。遺物や継承され続ける文化風習は当時の人々の喜怒哀楽が生み出した産物であり、暮らしぶりを偲ばせるよすがとなる。そこに人が生きた温もりを感じる。モノ自体よりその向こうにいたであろう人々の生活、何を思って生きたのかを知りたいと思う。
結局のところ歴史への興味は自分の中で人への興味なのだ。
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| ■さ行の作家■ | 14:14 | comments(4) | trackbacks(0) | | |

*「邪魅の雫」 京極夏彦

「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「―自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!
「邪なことをすると―死ぬよ」


鉛のように重く、暗鬱として黒々とした雫。
心の水面を揺らす邪悪な想念は形を帯びて、人を殺める。

重かった!というのがまず読んでの感想だった。物理的な本の重みに耐えつつ読むのは、すでに京極堂シリーズにおいてはあたり前な感がある。重い本を抱え、読む体勢に苦慮し、項を繰っていくわけだ。
最初は4、5日掛けてちびちびと100項程読み進めていたのだが、どうにも頭の中に人物相関図がうまく描けない。なので残りの大半は昨日の休みでいっきに読む。
かなり複雑に錯綜した構成になっている。最後のほうにきて京極堂がバラバラな世界を再構築してみせるまで、誰が誰で、誰が誰と繋がっているのかよくわからないまま、作者にいいように翻弄され、惑わされ、錯綜するプロットの糸に絡め取られてしまったような気分だ。
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| 京極夏彦 | 18:57 | comments(15) | trackbacks(7) | | |

*十五夜さん

陰暦八月十五日、今夜は仲秋の名月。
生憎と空を覆う雲は厚く、月愛でるには無粋ともいえる空模様だ。
月は見えなくともせめて月見の風情だけは楽しもうか。
そんな思いから月餅を買いに街まで出たのだが、いつもの習慣というものがある。ついふらふらと本屋へ足は向く。本屋へ行くと、少しばかりの本の重みを手にすることなく帰るのは寂しい気がしてくる。
結局本が読みたいのか、本が買いたいのか、コロンブスの卵じゃないがどっちが先なのかわからなくなってくるというものだ。
月のない夜に月餅ひとつのはずが本を手に帰ることになった。
明日の月は望。満月である。十五夜は必ずしも満月とは限らない。
では明日の夜こそ月見酒といこうか。
(月餅への思いがいつの間にやら醸されて酒になったようである)
然し、明日は大荒れの予報。今度は雨にかき消されてしまいそうだ。ならばやはり読書に励もう。ということは月餅が本に替わったのは正解だったということか。なにやら書いていて自分への言い訳のようにしか思えないが。

今日購入した本。
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| 365分の1ーもの想う日々 | 23:18 | comments(2) | trackbacks(0) | | |

*地下鉄(メトロ)に乗って





いつもの地下鉄を降りると、
そこは昭和39年の東京だった―。






友人から映画の試写会のお誘いを受けた。
昨日、仕事を終えるや、いそいそと会場へ急いだ。
いつもの地下鉄に乗って。

観たのは浅田次郎原作の「地下鉄(メトロ)に乗って」だ。
地下鉄。通勤や通学を日常とするものにとって、地下鉄は欠かすことの出来ない移動手段のひとつである。

地下鉄はどこへでも行きたい所へ運んでいってくれる。
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| 映画・国内 | 22:34 | comments(6) | trackbacks(23) | | |
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