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*「僕たちは歩かない」 古川日出男近年の作品を読んだことがなかったので、古川さんといえば濃密な文章が紡ぎ出す豊饒な物語性を持つ作家というイメージがあった。おいおい順番に作品を読んでいきたいと思っていたのだけど、図書館に行ったらたまたまこの本があった。こんな嬉しい偶然は逃す手はない。 22時22分22秒、雪。終電は僕たちを乗せ、走り出す。世界が化石になる前に、“あちら側”にたどりつけ。疾走する言語と肉体、遊戯する物語。古川日出男の新境地意欲作。 *「死神の精度」 伊坂幸太郎CDショップの片隅で、熱心に“ミュージック”の試聴をしている人がいたら、それはもしかすると千葉さんかもしれない。千葉さん。ごくごくありふれた苗字を持つ彼は、調査対象の生死に対して、「可」あるいは「見送り」の報告をするためにこの世に派遣された死神なのだった。ミュージックを愛する死神と人間が織り成す6つの物語。 *「町長選挙」 奥田英朗先にひと言書かせて下さい。 暑い〜〜っ!ふう。 さて、こんな暑い日に熱い話の感想を書くのもなんだけど、奇妙奇天烈、空前絶後な精神科医伊良部先生が登場するシリーズ第3弾。 マスコミと熱い闘いを繰り広げるのが、日本の大手新聞の代表取締役会長にしてプロ野球人気球団のオーナーでもある「ナベマン」こと田辺満雄。このナベマンと縁なきこともあらずで、プロ野球界への参入問題で世間を賑わし、一躍時代の寵児となったIT企業の若き社長「アンポンマン」こと安保貴明はなんと幼稚園児と闘う!?彼が代表を務める会社の名前がライブファストって、どこかで聞いたような。白木カオルは元東京歌劇団に所属していた40代のカリスマ女優。美貌を誇る彼女が闘うのは… 「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」に登場する人物達、三人とも実在のあの人この人と顔が浮んではきはしまいか。 最後の「町長選挙」は伊豆半島の沖合いにぽつんと浮ぶ千寿島に短期赴任する伊良部先生。おりしも町を二分する熾烈な選挙戦の真っ最中で、当然のように巻き込まれる、いや周りを巻き込んでいくのだが……、果たしてどんな無謀暴走振りをみせてくれるのか。 *「廃帝綺譚」 宇月原晴明『安徳天皇漂海記』につらなる連作短篇集ときけば、なにをおいても読まずにいられましょうや。 本屋に平積みされ、どこか見覚えのある波頭砕ける表紙を目にした瞬間、思わず本を胸にかき抱いていたのである。 元末の順帝、明の二代建文帝、明朝に幕を下ろせし崇禎帝、承久の挙兵むなしく隠岐に流されし後鳥羽院…。廃され追われ流された4人の帝王たちをめぐる、「安徳天皇漂海記」につらなる連作短篇集。 滅びにある寂寥と美学はこの本だけでも充分味わえるとはいえ、やはり『安徳天皇漂海記』も合わせて読みたいもの。そうすればよりいっそう味わい深いものとなることは間違いない。なぜなら二冊を費やして語られる物語は、ひとつの大きな環の中にたゆとうているからである。 *「海」 小川洋子この夏一番の暑さとなった今日の札幌の最高温度は34度。もとよりクーラーなどない部屋は、ただ座っているだけでも身体から水分が蒸発していくのがわかる。(水、水、水分補給をお忘れなく!)どこか涼しい場所へ避難しようかとも考えるが、クーラーには弱い。実のところ暑い暑いとふぅふぅ言いながら、短い真夏の感触を楽しんでもいるのだ。
暑さに身を置いたまま、せめて気分だけはと涼を求め、頭の中にひんやりとした風を吹かせてくれそうな小川洋子さんの『海』を読んでみた。 キリンはどんなふうにして寝るんだろう-。『新潮』掲載の表題作ほか、「博士の愛した数式」の前後に書かれた、美しく奥行きの深い全7作品を収録する。この世界の素晴らしさを伝えてくれる短編集。 *空の子供を呑むしばらくぶりに狸小路を歩いた。 狸祭りの飾り付けが賑やかなアーケイド街を西へ向って進む。さすがに7丁目まで来ると人通りもまばらだ。ここで頭上を覆っていたアーケイドが途切れ、目の前にぽっかり空が広がる。目的の「FAB cafe」は西8丁目、すぐ先だ。看板が呼んでいる。もうあと少し。美味しい紅茶が待っている!、はずだ。 お目当ての「空の子供」という紅茶を注文する。ポットサービスで出された紅茶は大き目のカップでたっぷり2杯分は呑める。竹製の茶漉しが珍しい。茶漉し片手にこぽこぽとお茶を注いでいると、茶漉し職人にでもなった気分だ。「空の子供」のお味のほうはというと、ほどよく甘やかでふくふくとした気分になる。普段紅茶に砂糖は入れないが、ストレートと砂糖入り両方試してみた。砂糖を入れるとよりまろやかな甘味が口の中に広がって、疲れた時の一杯にもよさそう。 なんといっても「空の子供」という名前に惹かれる。紅茶の名前というより、まるで詩のタイトルのような響きだ。紅茶を呑みながら空に心を遊ばせる、そんなゆったりとした時間は大切にしたい。忙しさに押し流されてしまわないように、たまには違う風景を眺めに街へ出てお茶しよう。 いま一番行ってみたい喫茶店といえば<かふぇ あさん> ああ、あそこかちピンとくる人もいれば、それどこ?な人もいるはず。 <かふぇ あさん>は小路幸也さんの小説『東京バンドワゴン』の舞台となる古本屋に隣接している喫茶店なのである。一番行ってみたい喫茶店とはいえ、絶対行けない喫茶店でもあるわけだ。 本の中に行くのは無理としても、本の世界に浸ることはできる。集英社の小冊子「青春と読書」に連載されるいる「オーヴァー・ザ・レインボー」は、勘一とサチがまだ若かりし頃の話だ。前に「まったり読書日記」のエピノートさんに教えて頂いたのだが、物持ちのよい友達がいて、バックナンバーもすべて持っているというので借りて読んだ。 威勢のいい勘一とお嬢様なサチの出会いに始まって、なにやらキナ臭い展開が待ち受けている様子。続きを読むのが楽しみだ。9月号は忘れず本屋に探しに行こう。 *「ちんぷんかん」 畠中 恵「しゃばけ」シリーズ第六弾。 ついに若だんなが三途の川までいっちゃった!?えらいこっちゃ、若だんながいなくては話が続かない。これで御終いとあいなりますのやら。 お江戸名物の火事騒ぎに巻き込まれ、三途の川まで行ってしまった若だんなと鳴家が、地獄の鬼相手の大冒険。長崎屋の跡取り娘おたえの若き日の恋模様。兄・松之助に縁談が持ち上がるが……。 今日も元気に(?)寝込んでいる若だんな。昨日から今日、今日から明日へと変わりなく続くと思われる日々にも、いずれ変化の兆しは訪れるものである。若だんなの周りにいる人達にも、人生の新たな一歩を踏み出すための旅立ちの時が巡ってきているようだ。果てさて当の若だんなはどうなんだろう。恋のひとつもあって不思議はないが。 | 1/1PAGES |
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