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*「赤い竪琴」 津原 泰水赤い竪琴 津原 泰水 単行本: 242ページ 集英社 (2005/01) 本を閉じても味わった感動の余韻があまりに深く、再び本を開いて、ひとつひとつ言葉の意味を噛み締めてみる。 過去からこだまする詞(ことのは)。赤い竪琴の音。鯨のソング。せつなく苦い大人の恋。ずっとずっと気になっていた本だった。美しい文章が奏でる残酷な恋に打ちのめされた気分になる。こんなことなら……、出会わなければ苦しい思いもなかったのに。否、苦しみを身に刻んでも、抗うことの出来ない恋情があるのだと、物語のふたりは教えてくれる。 三十歳を過ぎ、仕事への希望も見出せぬまま、東京で一人虚無的な日々を過ごすデザイナーの暁子は、祖母の遺品をきっかけに耿介という男と知り合う。命ある限りの残酷な愛の記録。真実の愛を知った大人の哀愁漂うラブストーリー。 *「ホルモー六景」 万城目学抱腹絶倒、あの笑いの渦から恋が生成されるとは予想もしなかったが、これがねぇ、実に恋心溢れる作品集になっていて、いい意味で期待を裏切る続編なのである。仲良しホルモー仲間の女の子ふたりの恋と友情の顛末、楠木ふみ変身に隠された少年との淡い出来事、あの懐中時計に秘められた過去、芦屋の元カノ巴と失われたホルモーの謎、京都でホルモーを敵として戦った会長同士が東京丸の内で再会、時を越え長持を通して交わされる文と高村のチョンマゲの意味、ホルモーを背景に語られるむっつの恋の情景。 *「ジーン・ワルツ」 海堂 尊今回は出産という人間の生命にかかわる医療の問題を取り上げ、他の作品よりシリアスな内容となっている。 生命の誕生を支配するのは神か、それとも医者なのか? *「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎主人公青柳雅春を巡る人々、かつての恋人、大学時代を共に過ごした友人達、元同僚ら、共有される遠い記憶が伏線として随所に散りばめられ、この過去にまで張り巡らされた複数の伏線が見事に現在に結びつき、逃げ手となって仙台を疾走する青柳の追い風となる。 共有される記憶、個人と個人の間に培われた信頼は、一連の逃走劇に重要不可欠な意味を与えている。加えて終章、第五部での胸熱くなるエピソードの連なりへと広がっていくのだ。 2年ぶりの伊坂さんの新作は、とはいえ前作もその前の作品も未読な自分であるが、痛快さを持って面白く、身近にあった人を信じることの熱を帯びた感覚が心優しい作品だった。 首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか? | 1/1PAGES |
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