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*「黄金旅風」 飯嶋和一克明に書き込まれる時代背景、緻密な人物描写、多数の支流から本流へ、時代のうねりが壮大な物語となって広がる。いったん読み出してしまえば、あとは流れのままに読み進めてしまう骨太な力強さが作品の魅力だと思う。 ただ、その克明で緻密な文章、加えて長大なページ数もあり、読むには覚悟がいるのが飯嶋作品かもしれない。 寡作な作家、飯嶋さんの新刊が昨年出た。島原の乱を題材にした『出星前夜』は、どうやら既刊『黄金旅風』の続編らしい。 あらら、積読本の中にあるじゃないか。 江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、後に史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門と、その親友、内町火消組惣頭・平尾才介だった。代官であった平左衛門の父・末次平蔵の死をきっかけに、新たな内外の脅威が長崎を襲い始める。そのとき、卓越した政治感覚と強靱な正義感を持つかつての「大馬鹿者」二人が立ち上がった。 *「チェーン・ポイズン」 本多孝好最後、真相の一撃で、鮮やかに風景が一変する。唖然としたまま物語を遡って考えると、絶妙に伏線が配置されていることに気づくのだ。ああ、だからなのか。そういうことだったんだ。驚きと納得を繰り返す。 あと1年。死ぬ日を待ち続ける。 *「盤上の海、詩の宇宙」 羽生善治・吉増剛造本を読み、無造作に放り込まれた言葉を、このへんで少し片付けておかないとえらいこっちゃ、と思う。 直前まで読んでいた本のストーリーが、まだ頭の中で反響している。余韻を楽しむように、物語中に香っていたコーヒーを淹れる。ギィが淹れるコーヒーには及ばないだろうが、ひとつの物語を読み終えた後の充実感を、苦味を含んだコーヒーと一緒に味わうのは至福のひとときだ。 静かに夜が流れていく。 なにかもう一冊読みたい気分になってくる。 夜に深く分け入る時間の始まりにぴったりな本はないかな。 天才棋士・羽生善治と、現代詩壇を代表する詩人・吉増剛造。透徹した二人の感性が出会い、実現した驚異の〈対局〉。盤上の譜面が表現する宇宙が、詩の世界と通じ合う瞬間を捉えた対談を収録。 対談は1996年9月29日東京ヒルトンホテル、12月28日椿山荘と、少しの間をおいて2回おこなわれた。1996年といえば、当時の羽生六冠が王将位を奪取、25歳で将棋史上初の七冠制覇を達成した年でもある。 *小川さん新刊はチェスの話 今日の札幌は朝から強風と雨で大荒れ。雪でなく雨だ。1月だというのにである。かと思えば明日からは最高気温が零下だそうな。 雨のせいで雪の積もった路面はツルツル、デコボコになった凹みが水溜りとなり、歩くのも容易ではない。強風で傘が1本駄目になり、雪道には慣れていても氷道には慣れていないので、抵抗する間もなく見事にステンと転ぶ。痛い、と一瞬思ったけど、あれ、そうでもない。転ぶのが上手いのか。とりあえずはいつまでも水に浸かっていても仕方ないので、身体も気持ちも突然の災難から立ち上がることにする。 前途困難な道がまだまだ続いている、なにはともあれ、会社へ急げ〜 痛みのほうはあとあと出てくることになるのだが…… *「アイスクリン強し」 畠中 恵 江戸時代の爛熟した文化、生活の面白さに好奇心の針は大きく揺れ動くが、続く明治時代も面白そうだなと思う。 ビスキット、チヨコレイト、アイスクリン、シユウクリーム、スイートポテト。南蛮菓子から西洋菓子へと呼び名が変わり、新たな品々が数多登場。そんなスイーツ文明開化の東京で、孤児として生まれ育った真次郎は、念願の西洋菓子屋・風琴屋を開いた。そこには今日もまた、甘い菓子目当てに若い元幕臣の警官達がやってくる。菓子作りの修業に精を出したい真次郎に、厄介事が次々と…。著者の魅力全開!明治の築地居留地で、西洋菓子屋の若主人と元幕臣の警官達「若様組」が繰り広げる「スイーツ文明開化」騒動記。 *きょうの雑誌「サライ」これは買わなくては。それこそ気になる文楽特集なのだもの。 本日買いたてほやんほやんなので、ページをパラパラと繰ってみただけだが、それでも思わず唸る。これはいい!痒いところに手が届くとはまさにこのことだよね。超初心者にも豊富な写真を使って判り易く解説。この一冊を読めばひととおりは人形浄瑠璃について知ることができる、と思わせてくれるところがいい。 とはいえ、なんの世界もそうであるように、文楽も知れば知るほど奥深く、果てないのかもしれないが、まずは一歩ずつ、少しずつ。 他にもチーズの特集とかあるのだけど思わぬ人に出会った。 その人は将棋の森内俊之九段。 「私の名局、この一手」という連載の今回11回目が森内九段で、将棋との出会い、連載のテーマどおり印象深い一手や昨年の名人戦のことなど語っている。 これまでの10回の棋士たちの面々も知りたいところだ。 *「夜の光」 坂木 司主要都市名、油田、漁船の灯り、海洋名、湖名、人工衛星から見た夜の地球の姿を写した地球儀だという。宇宙から地球を見る。少しだけ宇宙飛行士の気分が味わえそうで、欲しい!と衝動的に思ったが、どこに置くんだ?と部屋を見回してクールダウンする。 地球を宇宙から見るのは容易ではない。でも、地球から宇宙に目を向けるのは簡単だ。空を見上げるだけでいい。天体望遠鏡があればさらにいうことはない。 坂木さんの『夜の光』は、高校の天文部に所属するジョー、ゲージ、ギィ、ブッチ、4人の男女の、高校という戦場における、クールな戦いの日々を描いた作品。 慰めなんかいらない。癒されなくていい。欲しいのは、星の距離感。これは天文部に集うスパイたちが、最前線で繰り広げた戦闘の記録。 | 1/1PAGES |
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