*スポンサーサイト
一定期間更新がないため広告を表示しています
*「キネマの神様」 原田マハ季節に倣うわけではないが本の感想も読み終えたホヤホヤから去年の宿題まで、気分次第の入り乱れた更新になることどうぞご容赦のほどを。 というわけで前置きどおり、今日読み終えたばかりの本の感想を書くことにする。 原田マハさんの本は『カフーを待ちわびて』以来でこれが2冊目。題名からも想像されるように物語の中にはたくさんの映画のタイトルが出てくる。劇場に足を運んで観た作品もある。思い出される場面の数々と一緒に当時の感動も甦り懐かしさでいっぱいになった。 映画を愛する気持ちが文章から溢れ出していて、これは映画の好きな人にはたまらなく嬉しく、うんうんと頷きながら共感できる作品なんじゃないかなと思った。 キネマの神様が運んできた奇跡によって再生していく家族の絆という、温かく沁みるテーマもある。 これはほんとうに優しくて、ぽっかりできた日だまりに気持ちよく寝そべっているような、厳しい冬をいっとき忘れさせてくれる湯たんぽみたいな温もりの伝わる素敵な作品だった。 だからほんわか幸せな日曜日の夜だ。 壊れかけた家族を“映画の神様”は救えるのか? *「火村英生に捧げる犯罪」 有栖川有栖中編から掌編までと長さも内容もバラエティに富む作品は、長編とはまた違った軽やかなミステリとして楽しめた。船曳警部や火村の住む下宿のお婆ちゃん、顔なじみの面々も登場して、懐かしさと安心感はシリーズもののよいところだ。 「とっておきの探偵にきわめつけの謎を」。臨床犯罪学者・火村への挑戦状が予告する犯罪とは―。洒脱。諧謔。情熱。驚き。本格推理の旗手の技に酔う。 本書に収められている掌編四つはいずれも携帯サイトに書かれたものだそうで、小粒な中に仕込まれたミステリの謎解きが面白い。ミステリ作品を読むとき、長編だと最後の真相解明に辿り着くまでがもどかしく、結末を読みたい誘惑に駆られることもあるのだけれど、掌編はすぐに答えがわかるところが好きだな。そのかわりトリックの複雑さや心理を読み解く醍醐味は少ないということもあるか。う〜ん、やはりそれぞれのよさを楽しむに限る。 掌編では「鸚鵡返し」と「下宿のお婆ちゃんが名ヒントをもたらす「偽りのペア」がよかった。 表題作の「火村英生に捧げる犯罪」はすごく期待させるタイトルである。 火村への挑戦状とも読める挑発的な手紙の文面に、かなり手強い犯人像を想像した。火村の華麗なる推理が犯人を追い詰めるか。まあ、長編ではないせいもあってか少々肩透かしな感じの犯人だったのは仕方ない。 長い影/鸚鵡返し/あるいは四風荘殺人事件/殺意と善意の顛末 偽りのペア/火村英生に捧げる犯罪/殺風景な部屋/雷雨の庭で 2009年2月15日読了 *恋の叶うスープ今日何気なくテレビを観ていたら見覚えのある名前。NHKの「食彩浪漫」に出演していたのは『食堂かたつむり』を書いた小川糸さんだった。 *「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 フィッツジェラルド老人として生まれ、若者へと時間を逆行して生きるベンジャミン・バトン。しかしその心は同世代の人間と変わらず、青春時代の苦悩や恋愛や結婚を経験し、戦争などの逆境に果敢に挑んでいく。不思議な人生を歩みつづける彼を、最後に待つものは…(「ベンジャミン・バトン」)。20世紀を代表する伝説的な作家による、ロマンあふれるファンタスティックな作品を集めた傑作選。 *「つむじ風食堂の夜」 吉田篤弘大きく心揺す振られる本を読んでぐったりしていたこともあり、つむじ食堂のある月舟町に迷い込んでみることにした。 懐かしい町「月舟町」の十字路の角にある、ちょっと風変わりなつむじ風食堂。無口な店主、月舟アパートメントに住んでいる「雨降り先生」、古本屋の「デニーロの親方」、イルクーツクに行きたい果物屋主人、不思議な帽子屋・桜田さん、背の高い舞台女優・奈々津さん。食堂に集う人々が織りなす、懐かしくも清々しい物語。クラフト・エヴィング商會の物語作家による長編小説。 *「百瀬、こっちを向いて。」 中田永一中田さんが注目されたという恋愛アンソロジーは未読なので、表紙と同じくまっしろな気持ちで読み始めた。 *「いのちなりけり」 葉室 麟読んでみたら面白かった。凛とした佇まいをみせる時代小説を書く人だと思った。 こんな作家がいたんだなぁ。まだまだ修業がたりない。しからば全国武者修行の旅へ、出てしまったらこうしてブログを書いていることもできないので断念するとして、未読の中に宝が埋もれていそうな時代小説の分野も、読む作家の幅を広げていきたいなと思った。 何度生まれ変わろうとも咲弥殿をお守りいたす。 *「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子読みながらひたひたと、読み終わってせつせつと、静謐な美しさを持った愛おしい物語が心の内でたゆとうている。静かに熱してくる感情の昂ぶりを抑えつつ、リトル・アリョーヒンの軌跡をともに歩み、彼が盤下で創り続けた棋譜の深く美しい旋律に傾聴し、グロテステクでせつなく哀しい世界の果てで涙したこの物語を思い返してみる。 伝説のチェスプレイヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。 *「天使の歩廊ーある建築家をめぐる物語」 中村 弦別の場所とはどこか。 本を読むうちにどこか見知らぬ場所に踏込んでいくような幻惑をおぼえた。 その男がつくる建物は住む人の心を狂わせる | 1/1PAGES |
|
ABOUT
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
TRACKBACK
ありがとうございます
COMMENTS
ありがとうございます
LINKS
MOBILE
OTHERS
|